霊的認識を考える~クリシュナムルティの場合~

(*一部不快な内容があります。諸説あり。)

 世界認識にドグマや権威主義は必要ないので・・・、”真理は組織化できない”ので・・・、
 
 解散!!解散!!

東方の星教団 解散宣言

 ジッドゥ・クリシュナムルティ(1895-1986)は、インド出身の哲学者・講話者・著述家で、少年期に神智学協会により”世界教師”になるよう育てられたが、後に同協会が設立した東方の星教団を、「真理は権威者を必要とするものではなく、まして集団に属するものではありえない」との考えから解散させ、自身も神智学協会から離れた。
 晩年まで、”精神教師”として世界中で講話をおこなった。

最後の講話

 小生がクリシュナムルティを知ったのは、人智学の本に触れて間もない頃だった。組織化した宗教と、真理への道は直接関係がないことは、自明であったから、「おお、立派なことをされた方やな~」と感心した程度で、彼の本に触れたことは今までない。(つーか、人智学関連も読み切れない。)


 地下鉄サリン事件の記憶がのこる日本人にとっては、上記の言葉は良く分かるはず・・・。

『GWに信者が拘置所“巡礼” オウム教祖「延命祈願」か』2018年5月7日 月曜 午後0:24
 FNNは、6日までの連休中に、オウム真理教の後継団体の若い信者が、松本 智津夫死刑囚がいる東京拘置所を訪れる、いわゆる「聖地巡礼」を行ったことを確認した。 ・・・つづきを読む


 信者は真理よりも?が大事なようですが。


こっから本題。

 さて、 今日のテーマは霊的認識。人智学では、瞑想を通じて霊界へ参入する方法について述べているが、その見地から、クリシュナムルティの霊的認識(と考えられるもの)について考察していきたい。

 クリシュナムルティは、”神秘体験”と呼べるものを、経験している。

1921年にインドに戻り、家族や友人に再会し、霊的マスターたちとの交流も再開した。1922年にアメリカのカリフォルニアのオジャイに移り、家族が神智学協会に関わっていた19歳のロザリンド・ウィリアムズと出会った。ロザリンドは結核を患っていたニトヤナンダの看護を頼まれ、親しく過ごした。クリシュナムルティはここで瞑想修行を行い、1922年に重要な神秘体験・宗教体験が始まった。すべてのものが自分であるという体験、ブッダやマイトレーヤ、クートフーミを見る体験をし、この前後には激痛を伴う肉体的な現象があり、のちに「ザ・プロセス」と呼ばれた。発作のような一種の錯乱状態が収まると「生の泉の源泉」に触れ、深い慈愛に包まれる心地があったという。ロザリンドはザ・プロセスに立ち会い、その様子を書き残している。クリシュナムルティは幾度も亡き母の姿を見、ロザリンドに母のイメージを重ねて、彼女に母にするように話しかけることもあった。ニトヤナンダがベサントに送った手紙の内容からは、ブッダやマイトレーヤの幻を除けば、この体験はクンダリニーの覚醒の古典的な表現であるという見解もある。3年で一応治まったが、その後も断続的に続いた。(wiki

 霊界を垣間見る瞬間は、程度の差があれど、一種の浄福感、恍惚感に満たされることが多いらしい。(また、多くの人がこの段階で修行を止めてしまう。)

クリシュナムルティの場合、”通常ではない”ことと思われるのが、激痛や発作の症状があることである。

氏は一般的な瞑想修行をしているはずなのに、どうしてそのような症状がでていたのか、少し考えてみた。

で、その直接的な原因となったと思しき人物がいる。




【チャールズ・ウェブスター・レッドビーター(英語:Charles Webster Leadbeater 1854年2月16日-1934年3月1日)】・・・神智学協会の初期の運動指導者である。神智学協会第二代会長のアニー・ベサントの片腕ともいわれ、クリシュナムルティを見いだし、新時代のキリストとして育成しようとした。『The Charkras』(邦訳名:チャクラ)などの著書があり、現代のオカルト・スピリチュアル系でよく見られるオーラ図や7色のチャクラの理論を考案した。額のチャクラを開発しオーラを見る能力を得たと主張しており、支持者には高度な透視能力を持つと称賛された。一方、弟子たちにみだらな行為を強要したとして批判も大きい。
 イギリスのストックポートで生まれたレッドビーターは、父親が早くに死んだため、家庭は貧しかった。青年になった頃には、エドワード・ブルワー=リットンの小説『来るべき種族』(1871年)を愛読しており、自分でも幻想的な物語を好んで創作していた。1878年には英国国教会の聖職者の地位を取得し、次の年よりその職に就いた。しかし、レッドビーターの興味はキリスト教よりも、心霊主義やオカルティズムに強く惹かれており、神智学徒のA・P・シネットの『オカルトの世界』を読んだのち、1883年には神智学協会に関わるようになり、その翌年には協会に参加した。
 1884年には、神智学協会の創設者の一人であるヘレナ・P・ブラヴァツキーと面会し、マハートマー(大師)のクートフーミから、インドでの修行を行うようメッセージが与えられ、英国国教会の職務を辞して、インドのアディヤールにある神智学協会の本部へ渡航した。レッドビーターによると、彼はインドで大師たちからヨーガや瞑想の修行を伝授されて、額のアジナ・チャクラを開発し、次元の異なる存在を知覚できる「透視力」を獲得したという。透視力で人のオーラを見、さらに前世の姿を知ることもできると主張した。著書『チャクラ』では、ヨーガの理論が神智学の理論によって再解釈されている。7個のチャクラは、ヘレナ・P・ブラヴァツキーの『シークレット・ドクトリン』の7段階周期説や世界構造論と接続されて理解されており、身体論はアストラル体やエーテル体といった神智学の用語に置き換えられている。
 また、レッドビーターはインドやスリランカで貧しい生活を営む子供たちのなかから、優秀な素質を持つ者を見つけては、イギリス留学による西洋の高等教育を受けさせることで、神智学協会のエリートを育てようとした。その活動により、1909年に出会ったのが、ジッドゥ・クリシュナムルティである。ピーター・ワシントンは、彼は観察している少年たちに対する判断を間違えないためと称して、彼らと肛門性交をすることを好んでいたと述べており、なにかと悪評が絶えなかった。クリシュナムルティの父親からは子供を神の化身に仕立てたこと、同性愛の対象にしたことの責任問題を問うて訴えられている。
 レッドビーターはイギリスでアニー・ベサントと協力することで、指導や著述活動をしながら、神智学協会の地位を向上させていった。レッドビーターは、クリシュナムルティを「世界教師」という救世主、マイトレーヤ(弥勒)が降臨するための「乗り物」として育てようと図っていた。1911年には、そのための「東方の星教団」を設立した。しかし、1927年には、クリシュナムルティが世界教師であることを否定し、教団の解散を宣言することで、計画は頓挫した。
 その後オーストラリアに移住し、神智学協会を母体とする自由カトリック教会を主宰して晩年を過ごし、80歳で死去した。(wiki

 ・・・

 あ、穴堀り開発者・・・!!

 クリシュナムルティは、霊能力を開発する前に、開発されていた・・・!?

 ・・・
ゴメンナサイ。

 
 ちなみに、レッドビーターが晩年に移住したオーストラリアと言えば、
『バチカンNo3のペル枢機卿を起訴』:世界に12億人以上の信者を抱えるローマ・カトリック教会の総本山、バチカン法王庁で1日、大きな衝撃が走った。オーストラリアのメルボルンからバチカン財務長官のジョージ・ペル枢機卿(76)が性犯罪容疑で正式に起訴されたというニュースが報じられたからだ。・・・続きを読む
 とか、

『キリスト教団体で性的虐待、被害4千人超 豪政府が調査』:オーストラリアで、キリスト教関連団体で性的虐待を受けた被害者が、存命の人だけで4千人以上いる。豪政府の独立調査委員会が発表した報告書で、こうした実情が分かった。中でも約2500人がローマ・カトリック教会で被害を受けていた。調査委は「カトリック聖職者の独身主義」を問題の一因と指摘し、改革を求めた。・・・続きを読む

と、性的虐待をする聖職者が多いようである。

 ・・・こう言う輩の影響を、クリシュナムルティは若い頃に受けてしまい、トラウマになったのかもしれない。彼は運命の苦難、カルマに苦しんでいたのかもしれない。

 また、彼が神秘体験をした、あとからのようだが、

 (巷で流行りの)不倫をしていたようである。
クリシュナムルティはその使命のために、女性と関係を持たず結婚もしないだろうと周囲に期待されていた。のちに代理娘のラーダは、クリシュナムルティは37歳の頃からロザリンドと不倫関係にあり、ラージャゴパルが真相を知ったのは30年後だったと告発した。ラーダによると、クリシュナムルティが若く美しい未亡人ナンディーニ・メータと出会い、ふたりが愛人関係にあると考えたロザリンドは、それまでの不倫関係を夫に打ち明けたという。3人の関係の真偽は確認できないが、彼らの愛憎と仕事関係はもつれ、破綻していった。(wiki

 ・・・不倫の具体的内容は、クリシュナムルティと二重人格の記事に詳しい。(もうレッドビーターの穴掘りだけでおなかいっぱい。)この記事によれば、不倫が始まる前からすでに奇怪な言動が出てきているようである。

 これらの点を人智学的に勝手に考察してみると、霊的認識を獲得しはじめた修行者に共通する、修行の弊害であると考えられる。

 シュタイナーによると、霊的認識には三つの段階がある。
 1.霊視(イマジネーション)
 2.霊聴(インスピレーション)
 3.霊的合一(イントゥイション)
 (三つの違いは詳しく説明する能力がないのでどうぞ本を読んでください。)

 それぞれの認識能力でそれぞれのオーラをみる。したがってすべての認識能力をバランスよく獲得していないと、ある側面のオーラしか看取しえない。(レッドビーターは、どれか非常にバランスの悪いかたちで霊的認識能力を開発し、オーラを部分的にみて、全てわかったつもりになっている感がある。)

 修行者の多くは、1の霊視(イマジネーション)から獲得しはじめる。(個人差はある。)

 シュタイナーは以下のように注意している。
 イマジネーション認識の段階に入ると、睡眠中体に向けられていた力の一部が他の方法で使用されることになる。この力を通して霊的感覚器官が形成されるのである。・・・
 ・・・かつて、体への働きかけに使用されていた力を、霊界との関係を確立するために使用するのである。・・・
 ・・・この点に注意しないと、超感覚的世界への入口を見出したにもかかわらず、肉体的に、そして道徳的に頽廃することになる。・・・霊的な進化への努力を始める以前には魂の均衡作用によって抑制されていた悪い性質が表に現れるのである。善良で、道徳的だった人物が超感覚的世界に参入すると、様々な低級な性癖、我欲、不誠実、復讐心、怒り等々が現れてくるようになる。
霊界の境域(霊的認識の階梯)』(現代仮名遣いに書き換え)

 クリシュナムルティやレッドビーターは、まさにこの副作用を上手く克服できなかったのではないだろうか?

 ・・・国内外問わず、さまざまな修行者、霊能者、教祖、宗教的指導者も、同じような問題を抱えている人物はたくさんいるのではないだろうか?

 はじめは、その人なりに、立派な志を持って始めたことかもしれない。しかし、”低級な性癖、我欲、不誠実、復讐心、怒り等々が現れて”、そのうち周囲を洗脳しはじめ、自身をも洗脳し、しまいには、




 「教祖誕生」の映画のような滑稽さしか表面に現れない。

 
 またある人は、何かしら充足感のある内的体験を繰り返し、そこに物質世界にはない絶対的な価値を見出して、これまでの生活を軽視するようになる。「価値観が変わった」、「もっと自分らしく」と、個人”だけ”の幸福を求め、しだいに周囲から遠ざかっていき、これまでの人間関係は破綻する。

 ”お宅の○○さん、大丈夫かしら? ”と心配されているだろう。


霊的修行の困難、人生の苦難。

 
 正しく霊的認識を獲得するには、シュタイナー曰く、

  ・・・低次の性質を厳重に監視し、元素界の危険な影響が入り込まないようにしなければならない。意識的に徳性を形成することで、元素界からの悪影響を断つことができる。
 『霊界の境域(霊的認識の階梯)』(現代仮名遣いに書き換え)


 ・・・

 徳性 が大事。(今回のオチです。)

 ・・・ 

 ・・・良心、愛といったものを誤解しないように修行しましょう。


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(補足)

・現代人にとって、多かれ少なかれ、人生そのものが霊的修行になっている側面がある。多くの人が道徳的に頽廃していく。

・クリシュナムルティを苦しめた要因となったであろう、道徳的に頽廃したリードビーターのような人物には注意しなければならない。

・念のため、書いておくが、クリシュナムルティの霊的認識を小生がこのように考えているからと言って、”真理は組織化しえない”と考え東方の星教団を解散させた行為の重要性が霞むものではない。 

・リードビーターは、非常に短期間(42日間)で霊的認識を獲得したようである。”After 42 days of strenuous effort, he attained astral consciousness while still in the waking state, which, according to Theosophical literature, is the ability to perceive the vibrations of the next highest state of matter above the physical plane.”(wiki))

 このような短期間で、完全な霊的認識に至ることはないであろう。

 別の仕方で、もっと速やかに目標へ到らしめる道もまた存在する。・・・いつの世にもそのような道を説く人が公衆の面前に姿を現してくるから、その道へ向うことに対してははっきりと警告しておかなければならない。導師だけに理解できるいくつかの理由から、これらの道の真の姿が一般に公開されることは決してありえない。そこここに現れるそれらの断片は健康、幸福、魂の平和を促進せず、妨害するのである。その真の本性も由来も知りえぬ暗黒の力に自分をすっかり委ねてしまうつもりのない人は、このような事柄に係わり合うことを避けるべきである。



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